2022
08.23

「悪」を理解しビジネスをイージー化しろ!【人は悪魔に熱狂する】

レビュー

今回は「人は悪魔に熱狂する」という本の紹介をしていく。

この本が紹介しているのは人間が持つ非合理性だ。

私たちの行動や選択は「歪んでいる」事が多い。

例えば健康志向の人でも体に悪いと分かっていながらついついラーメンを食べるし、夏休みが終わりそうになっても宿題は先延ばしする。

なぜ意思決定の歪みは生まれるのか?

このことを理解するのはビジネスでも非常に重要。なぜなら意思決定の歪みは人の購買心理にも大きな影響を与えているから。

本書では歪みの原因を人が持つ「悪の性質」という形で整理・分析されている。

悪を理解すればビジネスはイージーになるなと

本書を読んで思ったのは「悪を理解すればビジネスを有利に進めることができるようになるな」ということ。

人は常に心の悪魔に囁かれながら生きている。

だから悪の性質を理解すれば人の欲求をコントロールできるようになる。

つまり、モノが売れやすくなるのだ。

例えばBrainの人気商品を眺めていると大体が「〇〇の裏技」とか「悪魔的手法」みたいなのばかりだ。

天使的手法とか王道なんて聞いたことがない。

まぁ、「〇〇バイブル」みたいなのはあるがあれもどちらかというと「禁書」的なノリなので本質は悪なのだろう。

それだけ人は「背徳感」に惹かれるのだ。

実際、この本では世に出回っているヒット商品にも悪の性質を利用した例がたくさんあることが紹介されている。

例えば紙おむつのアテントという会社。

CMでは、介護をする娘に年老いた父が「俺のためにそんなに頑張るな」と言い、「頑張らない介護生活、始めませんか?」というナレーションが入る。

この紙おむつはヒット商品となったわけだが、もし機能性や利便性だけを宣伝していたらそんなに売れなかったのではないかと思う。

「親の介護で私の人生が奪われてしまう」という、あまり大きな声では言えない「悪の感情」に上手く寄り添ったことで、共感を生むことができた。

反対に、悪の性質を考慮しなかったがばかりに失敗してしまった企業のマーケティング事例も紹介されている。

例えばマクドナルドのサラダマック。

お客様の声を調査する中で、「ヘルシーなサラダが食べたい」という声が多いことに注目したマクドナルドは2006年にサラダマックを新商品として販売した。

が、全然売れなかった。

その後反対に従来の倍くらいデカい「クォーターパウンダー」を出してみたところ、めちゃくちゃヒットした。

結局、健康志向なんて建前に過ぎなかったのだ。

よく、「人の気持ちを理解してあげよう」みたいなことが言われるが、これは要するに「悪の側面を理解してあげよう」ということになる。

悪の心を理解し、それに寄り添った商品を作ることで、「そうそう、これだよ」と受け入れてくれる。

人が持つ6つの悪の側面

では具体的に人はどのような悪の側面を持っているのか。

仏教では人間の煩悩は108つあると言われており、それらをまとめるとこの6つに集約される。

・強欲
・怒り
・怠惰
・疑い
・嘘
・偏見

本書でも人が持つ悪の側面をこの6つに区分し、具体的な事例を紹介されている。

試しに「強欲」と「怒り」について紹介してみる。

強欲

人は強欲な生き物である。

人間の欲望に際限はなく、決して満足することはない。

あればあるだけ欲しい。

本書で紹介されていたこの心理を上手く活用したサービスが「食べ放題」だ。

スイーツ
焼き肉
しゃぶしゃぶ
バイキング

食べ放題にしなくても定食メニューだけでお腹が十分に膨れてしまうことは多い。

しかし「好きなものを好きなだけ、自由に選んで食べれる」という現実についつい食べ放題を選んでしまう。

そして「元を取らなくては!」と苦しい思いをしながら高そうなメニューだけを苦しみながら食べ続ける、みたいなことが起きる。(実際はどれだけ食おうが支払う値段は変わらないが)

この心理を個人のビジネスでどうやって応用するか考察したが、サブスクリプションの販売などで使えるのではないかと思う。

例えば、1つ300円の有料noteをマガジンとして20本まとめて1500円で売る、といった風にしておけば「300円のものが1500円で好きなだけ読めるようになる」となり、最初からそちらを買おうとなるかも知れない。

実際こういう売り方をされているのをたまに見かけるが、本質は食べ放題と同じ心理なのだろう。

怒り

悪人は徹底的に懲らしめるべき

理由がどうあれ腹が立つものは腹が立つ

腹が立ったらやり返せ

こういった怒りの感情は人の心を強く動かす。

怒りの感情で人々の心を動かす事例として本書で紹介されていた一つが「レッテル貼り」だ。

上級国民の例を取り上げられていたが、探せばいくらでも出てくると思う。

とりわけTwitterでは。

・上級国民だから権力に優遇されて逮捕されない
・ワクチン接種は裏で大量の金が動いている
・こんな広告を掲載するなんて差別主義者だ

①アイツはこういう奴だと決める
②キレる

これだけでいい。

賛否含めて様々な反応が返ってくる。

確かに情報発信をする上で何かにキレるってとても大事だと思う。

そもそも文章は顔が見えない分感情が見えにくい。

キレイ事を並べたところで「あーはいはい」となってしまいがち。

でも怒りは違う。

怒りの感情を上辺で作ることは中々難しい。だから「本音感」を感じやすく、共感してもらいやすいのだ。

そういえば、ある恋愛アカウントで月4,50万くらいを自動で稼いでた方の話を聞いたのだが、その方のメルマガでは

「あいつのチ◯コが入って俺のチ◯コが入らないなんてマジで許せねぇ」「リア充を見たら爆破してやろうと思った」

みたいにコンプレックスを抱えてキレてる文章を送りつけまくってたらしい。

すると「俺も同じこと思ってました」みたいな人がどんどん集まり、どんどんファンが増えていったんだとか。

よく「お客さんをファンにすればいい」みたいな話を聞く。

そのために一番手っ取り早いのはやはり「怒りの感情」をぶつけることではないかと思う。

さいごに

とまぁこんな感じで人間の悪の性質のフォーカスをしていってるのが本書である。

稼ぐことと悪の性質を知ることはかなり密接な関係にあるなと、とても勉強になった。

具体的な事例もたくさん載っていてそちらもかなり参考になると思う。
ぜひ手にとってみてほしい。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA